卓球ラケット開発の悲喜こもごも(5)
グリップの開発
グリップ形状に関しては、シェイクも中ペンも基本的にはブレードを中心とすると左右対称である。その意味でカーブラインのグリップは日本式グリップと本質的に類似しているといえる。バック側の球型グリップを中指、薬指、小指で包み、人差し指はシェーク同様にブレードを抑え、親指はフォア側の円形グリップを抑えるという形だ。
ちなみに球型グリップの内部は空洞になってはいない。試作品として内部空洞グリップを数多く作ったものの、試打結果としてラバーを貼った際に先端重心になりすぎてしまうという特徴があった。カーブラインのグリップ形状は、シェークよりもペンよりもグリップ体積が小さく、その分グリップとブレードが重なる部分が最小になっているため、ブレードのスイートスポットが広がり、攻撃型ラケットの特徴が際立つものであるが、絶妙なラケットバランスを保つために、球型グリップの内部は空洞にしないこととした。
フォア側の円形グリップがある意味は、打球感が手に伝わりやすいこととのほかに、こんな小さな円型のグリップではあるが、これがある事で、ブロックするときの相手のボールの威力を逃がすことが可能となっている。一方で攻撃に転じるときは、このグリップがあることにより、てこの原理が働き、小さな力で大きな力を生み出すことが可能となっている。
それから、グリップ構成としては、バック側の球型グリップよりもフォア側の円型グリップの方が、より硬質な材質を使用することにより、グリップ重量のバランスが良くなり、ラケットの打球感の良さにも貢献している。カーブラインは上記のようなグリップの持ち方をおすすめしているが、ペン持ちが全くできないわけでは無い。
親指と人差し指を広げ、水かきの部分を球型グリップに沿うようにして、あとはペングリップのように、他の指でブレード裏面を支えれば、それなりに形になる。このペンの持ち方はあくまで、開発における副次的な産物であり、できないこともないというレベルです。
ちなみにシーミラー打法も打ちやすいです。むしろ四面打法と呼ぶべきでしょうか。カーブラインのペン持ちに関しては、多くの可能性が秘められていると思っているので、引き続きグリップ研究を行っていきたいと考えています。