カーブラインはイップスを救えるのか

WINGSPANには国内、海外を問わずカーブラインシリーズを愛用されている方から多くのメッセージが寄せられている。本当にありがたい。改めてWINGSPANのカーブラインプレイヤーの皆様に感謝したい。最近はWINGSPAN愛用者が「カーブライナー」と呼称されることもあり、あまりにカッコ良いので、後追いで弊社も使わせていただくことにする。そんなカーブライナーの一人、Y・Sさん(仮名)よりメッセージが届いた。

そのメッセージはカーブラインとイップス改善に関するもので、とても興味深かった。Y・Sさんの許可を得て、メッセージをブログに掲載させていただきたいとお願いをしたところ、Y・Sさんよりブログ用に寄稿したいとの旨の申し出がありました。Y・Sさん寄稿いただき、本当にありがとうございました。

なお念のためではあるが、本寄稿はY・Sさんのご意見であり、WINGSPANのカーブラインシリーズが、イップス改善を保証することではないことを、あらかじめご了承いただきたい。

寄稿「ウイングスパンのラケットでイップスが改善された話」

皆さま初めまして。Y・Sと申します。この度、ウイングスパンのラケットでイップスが治った経験から、こちらのブログに寄稿させて頂くことになりました。少しだけ私の話を聞いてください。

―まさか自分がイップスになるなんて、思いもしなかった。

私が卓球を始めたのは中学時代から。そのころは幽霊部員で技術を教えてくれる顧問や先輩もいなく球遊びのレベルだった。当然卓球は上手くならずにやめてしまった。しかし40代になったころYouTubeで簡単に卓球の知識を得られるようになり、忘れていた卓球熱が再燃した。すぐに用具をそろえて地域のクラブチームに入って卓球をやりはじめた。

それから10年―

そこそこは上手くはなった。私は大会によっては入賞ができるレベルになった。

だが、そんな卓球が得意になっていた自分が、突然ラケットを満足に振ることができなくなってしまったのだ。事故やケガなどではない、イップスだ。

卓球の練習するときは、まず普通にロングサーブ、そこからフォアのラリーの練習から入ると思う。自分はなぜだかその最初のロングサーブができなくなってしまったのだ。

ボールを上げて、フォアハンドで自分のコートめがけて軽く打てばいい。それだけだ。しかしその動作をするときになぜか腕が硬直するようになり、ボールはネットにいくか、ありもしない方向へ飛んでいってしまう。当然、相手は困惑する。「ちゃんとボールをコートに入れなければならない」そのプレッシャーが、ますますイップスに拍車をかけていき、ついには体全体が硬直しまともにボールが打てなくなってしまったのだ。

たいていの人にこの悩みを告白しても笑い飛ばされる。「なにしてんの」「練習すれば治るでしょ」「気にしすぎだよ」「気楽にやりなよ」しかし、私の壊れたロボットのような動きをみて、皆これはただ事じゃないなと思うのである。

それからイップスについて調べてみたが決定的なことはわからなかった。イップスはいまだに医学的に解明はされていない。しかし、ゴルフ、野球、テニスと多くの細かな動作を要求されるスポーツにおいてイップスは多発し、多くの選手が競技の断念を余儀なくされていた。

イップスの状態が続いたことで、卓球から離れようかと真剣に悩んでいたが、そんなときにWRMで変わった形のラケットをみつけた。調べてみるとこれでイップスがよくなったという人もいたので藁にも縋る気持ちで取り寄せてみたのだ。いままでの棒状のグリップとは違う球形のグリップを見た瞬間、これならいけるのじゃないのか?と直感した。

そもそもの話だが、私はシェークハンドのラケットを人差し指だけを立て握り込みながら打つというのが、どうもしっくりこなかった。合理的じゃない気がずっとしていたのだ。テニスラケットやバットの握り方はわかる。合理的だし自然だ。でも人差し指だけを伸ばして握る卓球のラケットの握りは、前々から違和感があった。自分の場合は打つときに力が余計に入ってしまい、上手く力をラケットに伝えることができていなかった。

ところがウイングスパンのグリップは球なので、掌で包み込むようにして握る。例えるならパソコンのマウスを持つ感覚に似ている。パソコンのマウスを握るとき、みなさんはどうしているだろうか? 力一杯に握ってクリックしている人などいないと思う。脱力した感じで無意識に操作しているはずだ。少なくともパソコンのマウスをイップスで操作できなくなった人を私は知らない。

ウイングスパンのグリップも例えるならばそんなグリップだった。恐る恐るこの変わったラケットで練習を再開してみた。するとどうだろうか。不思議なことにイップス症状はかなり軽減していたのだ。厳密にいえば、私の一球目を出すイップスの動作は100%解消できていない。しかし、それがこのグリップで9割方は解消された。練習の初めに若干硬直することがあるが、傍目からはわからずに問題なく練習ができるレベルにはなっていた。

―なぜ、イップスが激的に改善したのか?

それはこの球形のグリップは先に述べたように強く握り込む必要がなく、普通のシェークハンドグリップよりも脱力が容易なのだからだと思う。余計な力が腕に入らないから、無意識にラケットを振れるのだ。

またイップスは、いわばミスの記憶が刻み込まれたことから起こる誤動作だと思っている。シェークハンドのグリップでミスをした動作が深層意識に刷り込まれてしまっていると、それが再現されてしまうのではないか。しかし、グリップが違うものならば脳の中でその動作を再現するきっかけのスイッチが押されなくなる。したがってイップスは発生しなくなるのではないかと自分で納得をしている。

というわけでウイングスパンのラケットのおかげで、また卓球が楽しめるようになった。シェークハンドやペンホルダーを試してみて、私のようにしっくりいかなかった人や、もしもイップスに困っている人がいたら、ぜひこのラケットを試してほしいと思う。

最後にこのラケットを開発したウイングスパン社に感謝を述べたい。

ありがとうございました。