卓球ラケット開発の悲喜こもごも(2)

真円型ブレードの欠点発見と、さらなる追求

写真左の真円型ラケットのバックハンドの握り方は、球型グリップを掌で包むようにして人差し指だけ伸ばして握る形だったのですが、この握る手が、バック面の結構な面積を覆ってしまうことで、明らかにバックハンド打法を行う上で手にボールが当たりやすいという欠点に気が付きました。

試作品を制作し、期待を胸に試打を行うわけですが、試打の中で、どうにもならない欠点を受け入れることはなかなか、難しいことです。自分の技術不足なのではないか?などと疑ったりもしてみますが、試打を繰り返せば自然と答えはより明確になります。

結局、グリップも真円ブレードからほとんどはみ出さないシルエットの写真左のラケットを落胆しながらあきらめて、グリップを若干下げる方向性で開発を進めることになりました。グリップを若干下げることは、ブレードもグリップの球底形に合わせて、形が変わることになります。そんな中で、生み出されたのが写真右のラケットです。約2cm、グリップが下がりました。

これによって、バックハンド打法で手や指に当たってしまうことは極端に減りました。これに気を良くして、真円型ブレードシリーズ制作に拍車がかかります。ブレードに対して、球底があるタイプのグリップではなく、グリップが球体なるようにタイプも制作しました。それが下の写真です。

この時点では、真円型ブレードにその後襲う恐ろしい事実があるとは、理解できていませんでした。(つづく)